「スプライス」

もう既に観てから一週間も経ってますが「スプライス」の感想書きますよ。
マクラ無しでサクサクといつものフォーマットを。

【あらすじ】※シネマトゥデイより引用

科学者のクライヴ(エイドリアン・ブロディ)とエルサ(サラ・ポーリー)は倫理に反し、人間と動物のDNAを配合する実験を開始する。実験は成功し、これまで誰も目にしたことのない新生命体がこの世に生まれ落ちる。二人はその新しい生命体にドレンという名前を付け、誰にも知られないように育てることにするのだが……。

以下、感想!





爆笑だよ!!
正直ウトウトしましたが、終わってみれば満足な内容。でもその「満足」というのは作り手が狙った方向とは違うかもしれないね。話があまりにもぶっ飛び過ぎててなんか「ホラー」として真剣に観る事ができなかったんだよね。


あからさまに気持ち悪いアバンタイトル。なにか内臓的な中をグニョグニョとカメラが進んでいき、その肉の壁に出演者の名前が浮かびあがる!なんすかこの悪趣味なスタートは!骨に「スプライス」って出るからね。映画の入口からもう既に不穏っていう...。
新生物のデザインも凄い事になってます。なんかの肉の塊。冒頭で肉の塊がアバターみたいに交尾を始めるよ!「スプライス」は「結合」って意味らしいけどね、まあなまめかしくおっぱじめますよ。それを見た科学者のカップルが「キュート!」だって。尋常じゃない世界だって一発でわかるよ。


この科学者カップルを演じた2人がまたイイ味を出してました。戦場のピアニストエイドリアン・ブロディじゃないですか!彼女のサラ・ポーリーと2人して「ホラー映画だったら真っ先に殺られるタイプ」のご尊顔。説得力あり!2人のキャラクターも良いんだよね。倫理観を超えてタブーに挑戦するマッドサイエンティストの2人。この点に関してはブレがないです。というか、この二人この映画中やっちゃいけない事しかしていません。演技に関して言うと、サラ・ポーリーのドレンちゃんに対する態度がかなり本格的。さっきまで笑ってたのにドレンちゃんがある行動とったら、ドレンちゃんを問答無用に手術台に載せちゃうからね。あの心変わりの異常さがマッドサイエンティストっぽくて良かったです。


2人は「ドレンちゃん」っていう新生物を生みだします。6割くらい人間っていう対処に困る生物。頭部が井手らっきょさんによく似た女の子。足関節は逆曲がり。あとハニカミ屋です(人間を恐れるしぐさから察するに)。延々と気に障る奇声しかあげないし、尻尾の先端が鋭い凶器になってるしで危険な生物極まりないんだけど、6割くらいは人間の女の子っぽいからさ。殺すに殺せないんですよ。愛着がギリギリわくデザインが上手いです。逆関節の足のデザインとか面白い。で、いかんせんコミュニケーションがとれないもんでね、2人のマッドサイエンティストはとにかく四苦八苦。この下りをみて「ああ、ホントに子育てって大変なんだろうなあ...。」とぼんやりと思いましたよ。


で、ドレンちゃんはすっかり大人の女性に(6割くらい)見えるビジュアルになるんだけど、ここからが山でしたね。まあ、なんつーかエイドリアン・ブロディのチャレンジスピリットって凄いよね」って話。チャレンジスピリットというか「ガッツ」だよね。このシーンで劇場がざわつきました。よくいくわあ...。「このシーンだけがやりたかったんじゃねえの?」と思うくらい。
その昔「パリ人肉事件」で、女性の死体を食べちゃった佐川クンに対して「よぅ!食い道楽!!」って話しかけたっていう噺家川柳川柳(かわやなぎせんりゅう)師匠のエピソードがあるけど、まさにそれだよ。食い道楽ですよ。そういや冒頭で肉の塊を見てキュートって言ってたもんね。美的感覚がもう既にグルメでしたね。
その次のシーンの修羅場はもうね、爆笑ですよ!気まずさ満開!この気まずさは映画史に残したいくらいのシロモノ。「空気が凍る」ってビジュアル化するとこういう事でしょうね。あのシーンが一番の爆笑ポイントであり、一番の「ホラー」でした。


本音を言うとね、その後が一気に失速しちゃうんだけどね。片づけ方が雑です。「さっきのシーンやったからもう良いでしょ!はいはい終わり終わり!」くらいのテンションで話が進みます。まあ良いけどさ、今どきそういうことするかよ!?っていう展開だからちょっとなあ...という気分。


こうやって、不快な部分が殆どなんですが、終わってみて腹が立たなかったのは「この後、こういう風に話が進んだら面白いだろうなあ...。」と思い描いていた通りに話が進んだからだと思います。


「本当に怖いのは怪物なんかじゃなく人間の心なのだよ!」ってありがちな事を言いたかったのかもしれませんが、むしろこういったバカバカしすぎるほどのオモシロ展開が観れただけでも満足です。タブーをいっぱいやらかしちゃってるから本気で怒る人もいるかもしれない内容だけど、ボクは後半のバカ展開で1,800円分楽しめました!やってるうちに観に行った方が良いよ!


おまけ
大人になったドレンちゃんはこんなビジュアルなんですが

このキャラクターを演じたデルフィーヌ・シャネアックさんてべっぴんさんらしいよ。


という事で探してみました。この方!









なんとっ!「特殊メイク」スゲえ!







ちなみにボクはこのドレンちゃんのデザインを見て、クリス・カニンガムが演出したプレイステーションのCMを思い出したのでした。





※本文に漏れた感想

  • アニメの壁画に「やつらがくるぞ」と意味ありげな台詞
  • 今振り返ってみても深夜にやってるような映画だったね。
  • セレモニーの「ある出来事」はモンティパイソンのスケッチみたいなシーンだった。