「ツーリスト」

最近出張が多いんですが、自分の中で「旅先の知らない街の映画館に行ってみる」ブームが起きましてね。名古屋出張の際には駅前の「ミッドランドスクエアシネマ」という映画館に行ってきました。すげえ綺麗。座席が革張り。で、そこで観た映画がこの映画、「ツーリスト」。


【あらすじ】※シネマトゥデイより引用

傷心を癒やすためイタリアを訪れたアメリカ人のフランク(ジョニー・デップ)は、ベニスに向かう車中で上流階級の美女エリーズ(アンジェリーナ・ジョリー)に声を掛けられる。魅力あふれるエリーズに誘われるがまま、アバンチュールに酔いしれるフランク。しかし、それはすべて仕組まれたわなだった……。


以下、サクッと感想ですよ。





いやあ、やっぱりあるねえ!シネコン系映画の最近の風潮として、洋画は面白くて邦画は面白くない(テレビ局主導のドラマの延長線上に作られる映画が多い為、ドラマファン以外には届かない)という風潮がありましたが、この「ツーリスト」は「つまらない映画は洋・邦の如何を問わず。」という事をはっきりと示してくれる映画です。



ジョニー・デップアンジェリーナ・ジョリーという鉄板のカードを2枚も切ってるのになんでこの映画は面白くなかったんだろう(個人比)と色々と考えてみますよ。突き詰めて書くとラストのモロネタばれになってしまうので触れないように書いてみます。


まず、思いつくところで書くと、主人公の立ち位置がボンヤリしちゃってます。誰がこの物語を引っ張っていってるのか?っていう話ですよ。冒頭はアンジェリーナ・ジョリーが謎の女として物語を引っ張っていってるんだけど、中盤はその謎の女に翻弄される男としてジョニー・デップからの目線で話を引っ張っていきます。片方が引っ張っていけばそれぞれ相手の謎も深まるところ、観てるこっちは両方の目線を見せてもらっちゃてるからさ、謎が謎にならないんだよね。ラストから考えるとアンジェリーナ・ジョリーメインで行くべきだし、話の面白さから考えるとジョニー・デップで行くべき。脚本上で2人がお互いを遠慮しちゃってるような感じなんですよ。「お互いちゃんと見せ場は同じくらい無くちゃねー。」みたいな。おかげでフライをお見合いしちゃったセンターとライトみたいな雰囲気になっているようでした。


主役二人が見せるアクションもしょぼいんだよねえ...。特にジョニー・デップが謎の集団から逃げるシーン。これはジョニー・デップが悪いんじゃありません。むしろジョニー・デップがパジャマ姿でベニスの街を逃げ回るっていう画としての面白さはあるんですよ。これは一重に撮り方が悪い。歯がゆい!ジャッキーだったら数倍面白く観せてくれらあ!というかジャッキー好きの映画マニアが撮った自主映画の方がもっと迫力があるかもってくらい。とにかく間延びしてるんですよ。この牧歌的なアクションは品川監督の「ドロップ」を思い出しました。取り方が悪いと言えば、アンジェリーナ・ジョリーも酷い目に遭ってたなあ。なんでライトを顔の真下から当てるかね。肝だめしじゃないんだからさ、おばけのライティングですよ。ちっとも魅力的に観えないんです。アンジェリーナ・ジョリーの無駄遣いですよ。


あと、話の構成もなんかだらしないんだよねえ。メインの登場人物が3人いるんですよ。ジョニー・デップアンジェリーナ・ジョリーと、アンジェリーナ・ジョリーの恋人で逃走中である「アイツ」ってのがいるんだけど、この三角関係が悪い意味で「まさか!」っていう展開になってて白目剥きますよこっちは。いわゆる「マクガフィン」としてのアイツがスゴく残念。なんか月曜ドラマランドみたいでした。


まあいろいろ書いてましたが、一番印象的だったのがジョニー・デップが終始死んだ目をしていたってことですよ。同じような話でも「ナイト&デイ」のサービス特盛り感は良かったね。そもそもこの「ツーリスト」はトムクルーズがキャスティングされてたって話じゃない。トム兄やんの危機回避能力が凄いね。という事で、「ナイト&デイ」と見比べて観るのをオススメしますよ!



【おまけ】
ツーリスト(旅行者)って事で、ミシェル・ゴンドリー監督のこのPVを。