「塔の上のラプンツェル」

出張先の札幌で観てきました。「平日の18時から」っていうのは親子連れも勤め人もこれない時間帯だよね。ボクしかお客さんがいませんでしたよ。

【あらすじ】※シネマトゥデイより引用

深い森に囲まれた高い塔の上から18年間一度も外に出たことがないラプンツェルは、母親以外の人間に会ったこともなかった。ある日、お尋ね者の大泥棒フリンが、追手を逃れて塔に侵入してくるが、ラプンツェルの魔法の髪に捕らえられてしまう。しかし、この偶然の出会いはラプンツェルの秘密を解き明かす冒険の始まりのきっかけとなり……。


以下、感想です。







今回ばかりは先にオチを言わざるを得ませんよ。「オススメです!」しか浮かびませんよ!
そもそも「良い映画」の感想ってのは難しいね。良過ぎて特に言う事が無いっていう。この作品はディズニーの長編映画で50本目という事で、特に気合いが入ってたんだかわかりませんが、とにかく面白くて、満足のいく作品で、文句のつけようのないクオリティでした。


冒頭、ディズニー映画らしからぬショッキングな台詞で幕が開きます。結構ドキッとするひと言。もちろんそれは伏線となっているんですが、普段のディズニー映画らしからぬ香り。でもそこから先はもう文句のつけようがありません。徹底してお客様に対してのサービスサービス。監督が、というより、作り手が一丸となって「観客を楽しませる!」という姿勢に感動してしまいます。「トロン:レガシー」で全世界に「?」浮かばせた会社とは思えない仕事ぶり。当然この映画の製作総指揮を務めたジョン・ラセターがスゲえ仕事をしたってことなんでしょうけどね。スタッフ1人1人の熱意というものが端的に、且つ情熱的に伝わる作品に仕上がってると思いましたよ。


アッパレです。ディズニーの映画を観るといつも「集合知」という言葉が浮かぶんですよ。小道具一つとってみてもね、とにかく無駄が無い。伏線の張り方が緻密。ホントにどうでもいい、一瞬映った小道具が、話が展開していくにしたがってものすごく重要なアイテムとして機能していく様は1人の才能では無い何かが備わってると思いました。今回は「ラプンツェルの髪」というものすごい面白いアイテムがあるのにもかかわらず、その効能を最小限に抑えて実はもっとほかのアイテムが物語を進めてるという事にとにかくビックリしました。その「ラプンツェルの髪」というのも実はスゴくて、CGで表現するのが難しい「髪の毛」を敢えてストーリーの真ん中に持ってきてあそこまで表現しきってしまうと言う事にも驚かされます。技術の進化はスゴいねえ。バーチャファイターで育った世代としてはあのきめ細やかな髪の毛には感動します。


キャラクターもそれぞれ良くて、ラプンツェルをさらう女のキャラがブレなかったってのは評価したいところ。赤ん坊のラプンツェルを女がさらってしまうという所から物語がスタートするんだけど、良くありがちな部分で話を進めると女もラプンツェルに情が移って云々みたいな話に落ち着けそうなところ。それを徹底的に「悪」として描いているのには好感が持てました。単なる悪としてのばばあ。難しい部分が無いってのはおとぎ話としてちゃんとしてるよ。ただ、その悪い女とラプンツェルのやり取りってのも面白くて、単なる「邪悪」に見えないところが良いね。流石としか言いようがありません。


いま、色々と心を痛める出来事が多くて目の前が真っ暗、とはいかないまでも、「目の前がなんだかグレイ」に見える人はこの作品はオススメです。間違いなく2011年に公開される映画のトップクラス。これを今年の映画のベスト一位に上げるなんてベタじゃね?って後ろ指さされるくらいの傑作ですので、つまんない映画観てガッカリしたくないよ!っていう堅実な方に是非見て頂きたい作品ですよ!


【おまけ】
ラプンツェルの友人かつペットのカメレオンのキャラが素晴らしかった。人間語をしゃべらないで表情で全てを伝えてしまう雰囲気とか。
ということで、ボクが子供の頃にさんざん聞いたこれをご紹介。みんなのうたより「カメレオン」。歌うはシュガー!






※本文から漏れた感想

  • 単なる脇役かと思ってたあの馬。あいつのキャラ最高!正義感が異様に強い馬。何が良いって人間の言葉を最後までしゃべらなかった所!
  • 長いものには巻かれろってことだとは思いませんが、ラプンツェルの髪の毛アクションは「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」を思い出さずには居られませんでしたよ!
  • イケメンのイケメンたる所作って絶対はずさないよね。
  • この作品は「ドヤ顔」の宝庫だと思いました。主人公のあいつも去ることながら酔いどれ爺のアノ顔!
  • ラプンツェルtってイイ顔してるよね〜。あの「前歯がちょっと出てる感じ」とか結構萌えです。
  • フライパン一つで物語を引っ張る力ってのはやっぱり集合知の為せるテク。