「巨神兵東京に現わる」

先日、この夏のビックイベント「特撮博物館」の内覧会に行く事が出来ました。
これがまあ、ここ数年の展覧会の中でもトップクラスのクオリティ&クオンティティだったんですよ。
ゴジラガメラウルトラマンエヴァンゲリオンで表現してナウシカにまとめてもらう感じ。
「日本のスタンダード」となっているビッグネームが揃っているだけでもうクラクラ!さらに他にもかつて日本を守って頂いたスーパーヒーローの方々も夥しい量展示してあって、とにかく観に行って欲しいのですが、今回はそこで上映されている短編映画「巨神兵東京に現わる」の感想を書きます。なんとスタジオジブリ最新作です。






ムチャクチャ面白い!




「企画:庵野秀明 巨神兵宮崎駿 監督:樋口真嗣」というテロップだけで充分すぎるほどの「ドリームチーム」感と申しましょうか、「アヴェンジャーズ」感と申しましょうか、冒頭のスタジオジブリロゴと併せてワクワクしてしまうんですが、そこからの9分間はただただ「地獄絵図」。天空に現れる「巨神兵≒恐怖の塊」は「これではもう全てを諦めざるを得ないな...」というほどの圧倒的な説得力を持っておりました。今まで「腐ってやがる。早過ぎたんだ...。」状態でしか観た事の無い巨神兵の「完成体」は実に神々しいのです。


そして東京中の建物一切合切をなぎ倒す「破壊シーン」の数々は、さながら悪夢。ボクはこの「破壊シーン」を観て、あの「震災」の時に見た恐ろしい画の数々の時と同じように恐怖の声を漏らしてしまいました。震災以降に観たディザスター映画で、あの時の悲惨な映像に肉薄している映画はこれだけだと断言しても構いません。今回はCG無しというのも驚きです。ボク自身CGを否定する訳ではありませんが、この作品の特撮はCG隆盛の現在の映画に対する充分なアンチテーゼになっていると思います。もちろんその通りに作ってるんですけどね。


東京が文字通り「火の海」になるという恐ろしい風景を余すところ無く見せつけられます。しかしこれが不思議なもんで観終わった後、感動して涙が出てしまったんですよ。日本のトップクラスのクリエイターたちが生んだこの作品は、徹底的に「破壊」を描きながら併せて高らかに「再生」を宣言しているのです。
先人が生み出してきた数々の「特撮」のスキルを継承しつつ、今、持ちうる能力の臨界まで引き出して「特撮の現在」を描き、未来に繋ぐ。観終わった後に残るのは「恐怖」ではなく「希望」でした。
今の日本でも、CG隆盛の時代でも「特撮」は死んでいない。
これほどまでに熱のこもった作品を観る事が出来た幸せで滂沱の涙です。


とりあえず今年の個人的ベスト3(暫定)に入る作品となるでしょう。
特撮博物館」は10月8日まで開催されているという事で、イベントもこの作品も間違いなくオススメです。

お子さんがいらっしゃる方々は是非ともご家族で行って欲しい。
お子さんの今後の人生を大きく決定付ける可能性もある。未来の映画界を背負う人もここから出てくるかもしれない。
それくらいエネルギーの詰まったイベントです。



【おまけ】