「ビッチ・スラップ 危険な天使たち」

もう公開も終わろうとしている「ビッチスラップ」に慌てて駆け込んできました。最近観た映画がかなり「アウェイ」だったもんで久々の「ホーム」感。※ここでいう「ホーム」にはおっぱいと機関銃とアクションが含まれております。

【あらすじ】※シネマトゥデイより引用
あ、ストーリーってあったのね。

ストリッパーのトリクシー(ジュリア・ヴォス)、麻薬売人のカメロ(アメリカ・オリーヴォ)、高級娼婦(しょうふ)のヘル(エリン・カミングス)からなる美女3人組は、闇のフィクサーが隠した2億ドルのダイヤを横取りしようと砂漠に降り立つ。場所を吐かせるために拉致した男を殺してしまい、必死にダイヤを探しているところを悪漢たちが襲撃。そのたびに敵を倒す彼女たちだったが、それぞれに秘密を抱えており……。

はい、以下感想。ネタばれはしてません。






良くできた作品でした!
聴けばこの映画の監督って、見世物映画の大物ロジャー・コーマンに才能を見いだされた方らしいじゃないですか。「マザーウォーター」や「玄牝」とは真逆の世界観。バカしか観ないという点で納得の出来です。美女の鼻血のアップから始まって、かつての「戦う女たち(乳を振り乱しながら)の映画」のカットバックっていうカッコ良いオープニング。「これはエクスプロイテーションの映画ですよ!」と、監督が自らこの手のジャンルの後継者を宣言するような気概を感じました。


主人公のおねーちゃん3人がすべからく魅力的。キャラがそれぞれ違うっていうのは観客のニーズにちゃんと応えているねえ。それぞれのファーストカットは足元からのスローモーションっていうど真ん中演出も光ってましたよ。股間が光るとか股間を蹴ったら猫がニャーっていうとかのバカ演出も当然してましたよ。この手の映画に必要な要素(乳・尻・殺人セックス・アクション・アメ車・機関銃・バズーカ・日本刀・鎖鎌)はだいたい入ってましたね。「ひょんな事から3人が水遊び、それをスローモーションでじっくり」なんてベタすぎて笑ってしまいました。でも絶対必要な事だと思う。出てくる男がだいたいバカとか明らかに残念な日本人キャラなんかも出てきて、ここら辺は現代的だとも思いました。特に日本人キャラのあの人ね。まあ、具体的には書かないけど「キル・ビル」の栗山千明って驚異的だったんだなあ...と思いました。


ストーリーはね、一応あるしバナナマンのコントみたいに綺麗に伏線を回収していく良い構成なんだけど、全然興味が向かないっていうか正直どうでもいいです。敵役がヤクザでも政府組織でもエイリアンでも成立するような話。重要なのは女同士が乳を振り乱して戦う!という事で、最終的に乳と尻が心に残ればストーリーなんていらないんですよ!回想シーンがクロマキーの前で棒立ちで芝居してるように見えたり、ひっくり返るくらいどうでも良いどんでん返しの連発とかも別にこれで良いんですって!細かい事はどんどん切り捨てていく感覚。これくらい開き直ってくれてれば、安さも味になりますテレビ東京木曜洋画劇場が残ってれば間違いなく放送されているであろうという作品です。日本でこれやってもあんまり上手くいかないんだよね。このアッパーな感じが出ないんだろうね。この映画リズム感も良いよ。ギャグマンガを読んでいるようなリズム。一時期のデ・パルマの作品みたいに画面分割で状況とか登場人物の表情→心境をサクサク見せてくれます。これ、監督が最近覚えた技術なんじゃね?ってくらい頻繁に出てくるけどね。あとエロに関しては直接的には見せないというこだわりが素晴らしいです。「水をかけたからたまたま乳首が立っちゃった」っていう演出ですよ。直接的なエロなんて今じゃネットやDVDに溢れてますからね。そういう事まで映画でしなくても良いんです。秘すれば花っていうね。エロに世阿弥を使っちゃ怒られますね。



ただ、観終わった後は乳と尻しか残らなかった訳でもなく、なんかお上品だったなあ...という印象でした。
こういう「乳&アクション」の脳みそつるんつるん映画っていうのは、ボクは大好きなんで無くなって欲しくないんですよ。この作品には大切な要素は入ってるし、過去のクズ映画へのオマージュも感じるし、このジャンルが好きな人が作った映画だという事が伝わってきました。
この映画のジャンルに於いては、そういう「映画に対する愛」が邪魔になってる気がします。こういう映画ってバカから金を巻き上げるくらいにしか思っていない商売人が作ってこそのジャンルだと思うんですよ。映画に対してなんの愛情も無く作った方が良い世界。この映画の「余計なことはいらない」っていう精神までは合ってるんですけど、それには映画に対しての愛とかリスペクトすら無くして、単なる金儲け映画です!くらいの気概でやってもと良かったのでは?と思いました。今作は監督にセンスがありすぎっていう不思議なジレンマ。ただエクスプロイテーションってそういうもんだからねえ。真面目に作らない方が良いジャンルってのもあるんだね。面白いね。


とはいえ、ハリウッドの大作すら日本の映画に負けて上映されない事があるという現状で、こういう映画が劇場で観れるって言う事はとても素晴らしい事なので、かかっている際には率先して観に行って「バカでえ!」と大笑いして帰るっていうのが映画好きとして正しい行動だと思うので終わる前に観に行くべし。




【おまけ】
Michael Gray - The Weekend (Official Video HQ)

Make The Girl Dance Baby Baby Baby

こういったPVを積極的に観て生きていきましょう。



※本文に漏れた感想

  • 日本人キャラが出てきた瞬間、言語の壁を越えた!さすが日活、無国籍。
  • 主人公3人の中で一番可愛らしくてバカなキャラが出ベソなのでそこもお見逃しなく。
  • 中盤で凄そうな機関銃が出てきたけど意外としょぼかったのが残念。エクスペンダブルズのマシンガンを観ちゃってるからさ。
  • 高山vsフライ戦並みの殴り合いもあり、女って大変ねえと思いました(ぼんやりと)。