「燃える闘魂アントニオ猪木50年の軌跡」

アントニオ猪木デビュー50周年記念DVD-BOX (初回生産限定)

アントニオ猪木デビュー50周年記念DVD-BOX (初回生産限定)

先日、縁あって大阪に行く事がありまして。梅田ブルク7で「燃える闘魂アントニオ猪木50年の軌跡」なるものを観てきましたよ。別に東京でもやってますがね。今回はそのお話。

シネマトゥデイは偉いねえ。こんなのにもちゃんと解説が入ってました。
【チェック】シネマトゥデイより引用

アントニオ猪木デビュー50周年記念DVD−BOX」の発売を記念し、DVDに収録されるアントニオ猪木の秘蔵試合や名勝負、インタビューなどを特別編集した劇場公開作品。今や伝説となったプロレスラー、アントニオ猪木のすべてに迫る。1960年9月30日、台東区体育館で始まったアントニオ猪木のプロレス人生が、余すところなくスクリーンに映し出される構成が魅力。プロレスファンはもちろん、かつてのアントニオ猪木を知らない人でも楽しめる。

以下、感想ですよ。今回はシンプルにまとめたい...。






ボクがプロレスを見始めたのが95年前後で、蝶野と天山がタッグを組んだ時くらいの話。そんときの猪木ったらもうすっかり全盛期は終えて「INOKI FINAL COUNT DOWN」が始まった頃。カウントダウンと言いながら回を重ねるごとに数もアップしていくという、非常にわかりやすいプロレスズンドコ節を聴かせてたころにハマり始めたんですよ。今回の映像集はそんな頃の猪木では無くて、あくまでデビュー〜異種格闘技戦中期くらいまで。UWFとかドーム興行とか北朝鮮興行とかまでいきません。所謂「若獅子」くらいの猪木。これがまあ面白いんだわ!大スクリーンで観る猪木はやっぱり頭がおかしいね。褒め言葉ですけど正しく狂ってるっていう表現なのかな。狂気と色気が素晴らしいよ。前述の通り、ボクは猪木信者ではないんだけど、やっぱり非常に魅力的なレスラーなのね。リング四方から観客に「観られている」という意識がはっきりあるから、どこを切り取っても気迫を感じられる。役者を目指す人がいたら、猪木のリングインから試合終了後のインタビューまで全て観て学んでみたら良いよってオススメするくらい。それほど猪木は「観られている」という意識がはっきりしている人物だと思います。「アカシア」観てないからこういう事言ってますけどね。「アカシア」観たらまた評価が変わってるかもね。

あと興味深かったのは当時のレスラーの圧倒的な説得力ね。
技なんて大した事ないですよ。パンチとキックと頭突きです。あとは大技としてのブレーンバスターくらい。それだけで一試合まるまる魅せる事ができるのはスゴいです。でっかいガイジンが猪木と殴り合ってんだもの。面白すぎますよ。「ゴジラvsキングコング」を思い出しました。当時のレスラーってみんなキャラが立っててわかり易いね。ドリー・ファンクJr.のカッコ良さですよ。27歳とは思えぬ生え際の上がりっぷり。それなのにカッコ良い。他にもタイガー・ジェット・シンの様式美とかルーテーズのインサイドワークとか大木金太郎のド迫力っぷりとか、現在の目線で改めて観ると色々発見があって良かったですよ。

ただねえ...。当たり前だけど「映画」として考えたらこれほど劣悪なものも無いですよ。これを「映画」とも呼べず「作品」とも呼べず、非常に困ったもんです。敢えて言うなら「販促品」だな。試合それぞれはまあ面白いよ。それをどう見せるかって言うのは現代の作り手の問題でしょう。ただ並べただけだもんなあ。しょうがないにしても「vsモハメド・アリ戦」が一切無かったり同じ対戦相手を見せたりするのって良くないと思うなあ。因縁深いってことでもないんだよね。vsアンドレ戦の2本目はいらんよ。だったらボブ・バックランド戦見せてくれよ!とかね。

よほどのファンしか行かないような作りです。それもファンに対して非常に愛情のない「もの」。販促品に3,000円って間違いなく悪徳商法でしょう。3D作品より高いって...。今猪木を観たいんだったら、下手したらネットでも観れますよ。劇場に来ないと観れない何かっていうものは絶対必要だと思います。猪木のDVD-BOX売りたいんだったらもっとちゃんとした「作品」を作ってDVD特典として付けて売ればいいのに。とっても残念至極なものでしたとさ。


【おまけ】

ダイジェストでも良いから大画面でこれを観たかったですよ。

※本文に漏れた感想

  • キラー猪木と狂虎シン。これを裁くレフェリーが若かりし頃のミスター高橋っていう...。これを「様式美」を言わずになんと言う!
  • アンドレ戦2回はともかくモンスターマン戦2回はきつかった。「アニマルハウス2」とか「ミクロキッズ2」とかのノリですよ。「そういやそんなのもあったね」っていう試合を見せられてもさあ。
  • ナレーションに「筋書きのないドラマ」という台詞あり。