「乱暴と待機」

11/3は「乱暴と待機」を観てきました。ったくドームではPerfumeライブがやってるというのに...。


【あらすじ】※シネマトゥデイより引用

番上(山田孝之)と妊娠中の妻・あずさ(小池栄子)が引っ越した先にいたのは、あずさの高校時代の天敵、奈々瀬(美波)だった。しかも、奈々瀬は怪しい男・英則(浅野忠信)と兄妹のフリをしながら同居し、英則は屋根裏から奈々瀬をのぞくことを習慣にしていた。しばらくして番上と奈々瀬が接近したことから、さらに4人の関係はいびつになっていく。

以下、感想ですよ。




勉強不足です!ボクが!


まず本谷由希子さんという方を名前しか存じておらず、この映画が舞台の映画化という事も知らず、冨永昌敬監督作品を観た事が無く、誰が出てる映画だって事も知らない状態で観てしまいました。だから観ながら思ってたのが「なんだか舞台っぽいなあ...。」という思いっきりとんちんかんな感想。そりゃ舞台っぽいだろうよ。そういう映画なんだからよ。

ストーリーは思いのほかシンプル。まあ痴話げんかっすわ。痴話げんかレベルの話なんだけど、登場人物たちが若干ヘンだから話が持ってるみたいな感じです。演じている俳優陣が魅力的。山田孝之小池栄子の夫婦が郊外の文化住宅に引っ越してくるところから物語が始まります。この夫婦が並んでる画がスゴイ好き。この話の今後の展開を期待させるキャスティング。演技もやっぱり上手いよね。山田孝之のクズっぷりとか小池栄子の残念な感じが良いです。片やもう一組の二人である美波と浅野忠信のダメ感もなかなかのもの。クズと残念な感じとダメ感。この映画、ろくでなししか出てねえ!

ダメな奴の特徴として、これはどの映画のダメな奴にも言えるんだけど「結局自分の事しか考えていない」っていうね。自分の事しか考えてない奴ってのはダメですよ、だいたい。だから「マザーウォーター」の登場人物もダメな奴らだと思ってるんだけどね。話ずれたけどね。この「乱暴と待機」って言う映画は4人しか出てきません。その4人が見事に自分の事しか考えていない奴らで、そんな奴らがぶつかり合うっていう構造が面白くしてるんだと思います。はい、ごく当たり前の感想ですね。簡単に言えば「誰が悪いんだ!?」ってみんなで棚上げする話。それだけで終わってたら残念だけど、この映画はちゃんと「やりたい事だけをやるっていうリスク」を描いてるからね。その点は評価できる。おもろい。

4人のキャラもホントに光ってて良かったです。小池栄子は相変わらず上手い。浅野忠信はずるい。ホントに童貞に見えてしまいます。童貞としてのしゃべり方、童貞としての所作が完璧。ああいう奴いそう。中でも山田孝之と美波の「ナチュラルに人を傷つけるクズ」感がたまりません。しかもそのクズ同士惹かれあうってんだからある意味「死闘」ですな。どっちがよりクズか?クズ決勝戦みたいな感じの行動としてのSEX。しかもエロいときた。このあたりは見てて面白かったですよ。

タイトルで「乱」って文字がダンッ!と出たりして嫌いじゃないオープニングとか、「ここぞ!」っていう時に出てくる台詞や編集のリズムが心地よいです。これって監督が編集もやっているそうで興味深かったね。特に台詞がどれも面白いね。予告編でも言ってるけど山田孝之「積極的にマヒしていこうよ。」とか笑ってしまった。一番笑ったのが終始足を引きずっている浅野忠信の、その設定の回収の仕方ね。ここ最近見た映画の中で一番笑ったかも。それってアリなんだ!


って、こうやって良いところを物凄く書いてるけど、ホントは別に褒め褒めテンションでもないんだよね。


なにしろ見てるあいだずっと「なんだか舞台っぽいなあ...。」って思っちゃってるからさ。もう違和感しかないんだよね。4人の登場人物は面白いんだけど、悪く言えば演技のトーンがバラバラって事。みんな好き勝手やってる感じ。浅野忠信なんて言い方の面白さだけで持っていってるからね。舞台ならともかく映画でそれはどうかと。いや、すげえ笑ったけどさ。決定的だったのは美波演じるナナセね。あまりに浮世離れ。演技がモロに舞台っぽい。エヘヘヘヘって笑うかね?動きとがしゃべり方がデフォルメされすぎてて、全然乗れなかったんだよね。確かに面白いけどその手法にはボクは乗れませんっていう。これから観る方は美波の演技が分岐点になると思う。ボクは受付けなかったけど、あのデフォルメされた感じを良しとするなら楽しめるはず。あと、結局は単なる「痴話げんか」でしかないから、そこに興味がないと結構苦痛かもね。


ボクは舞台と映画っていうのはホントに相性悪いと思うんだけど、あんまりそういう事思う人っていないのかなあと思う。ラーメンで「麺」の代わりに「そば」使う違和感。美味いかもしれないけど残る違和感ですよ。やっぱり別もんだ!って事をもっと言ってもいいだろう!舞台には舞台の、映画には映画の表現方法があって混同しちゃいけませんよって事。


あ、この映画は一応舞台では難しい設定を映画じゃないと処理できない方法を見せてたりしてましたよ。かなり好き嫌いがわかれるこの作品、でも観客の顔色を伺いながら作ってる映画よりは、監督の色がはっきり出てるこういう作品の方が振り切ってて良し!少なくとも「曲がれ!スプーン」よりは...ごにょごにょ。
実際に劇場で観てみて自分に「合う」「合わない」を確認してみるのをお薦めします!




【おまけ】

この映画のエンディングテーマ。この件にも異議あり

相対性理論はマベくんの歌詞があってこそ。



雷桜」もそうだったけど映画の世界が音楽にリンクするって多いね。
マグノリア」が好きで、当時PV観た時はグッときました。