「雷桜」

一昨日信頼できる筋から「らいおうすげえ。ギャグだ。」っていうメールが入り、観るつもりの無かった「雷桜」に俄然興味を持ったので昨日観てきました。うん、まあねえ...。



【あらすじ】※シネマトゥデイより引用

母の愛を知らずに育った、徳川将軍・秀斉の十七男、清水斉道(岡田将生)。心の病にかかった斉道は、静養のため瀬田村へ向かうことに。道中、瀬田山の中腹で、落雷に撃たれたイチョウの根元に桜が芽をつけた奇妙な巨木、雷桜の下で、斉道は雷(蒼井優)と呼ばれる自由奔放な娘と運命の出会いを果たす。


以下、感想ですよ。※ちょろっとネタバレあり



えー、ちょっと上の予告編をご覧になって頂きたい。あれを元に想像できる範囲の事しか起こりません。
で、その起こる事がだいたい何かの映画で観たことあるような話ばかりなんだよね...。あんまりツッコミを書くのもアレなんだけど、変なノイズが全体にちりばめられててどうしても物語に集中できませんでしたよ。

まず岡田将生がどういう病気かはっきりしません。というか、ありゃ病気じゃない。現代にもいるああいう残念な人。あえて病気ってんだったら「刀を抜いて振り上げると倒れちゃう病」ですよ。コントの間で倒れるんだもんなあ、2回も。まあ岡田将生くんが出てるシーンは全体的にコントっぽかったですけどね。良い役者さんなのにね。岡田くんの残念な殿様は一人で勝手に町に抜け出すんですよ。どういう国だよここは。志村けんのバカ殿様」かよ。いや、ほんとにバカ殿っぽいんですって!家来の一言にブチ切れて刀を抜くシーンなんかもろバカ殿とかぶります。これ多分バカ殿のオマージュでしょ、っていいたくなるくらい。岡田将生蒼井優が恋に落ちる瞬間ってのもスゴいんだよなあ。いきなりガバッとだからなあ。展開が早過ぎてついてけませんよ。展開だけ観てみればジェットコースタームービーのジャンルだね。時間が経つのは遅く感じるけどね。

あと、全体的に非常に雑に感じたなあ。ホントにいろんな映画から借りてきたようなもんを雑につなげた感じでした。宮崎美子蒼井優のとあるシーンでは泣きましたよ。クレヨンしんちゃんの「戦国大合戦」にこういうシーンあったなあ。あのシーンはホントに良かったなあ...という思い出し泣きで。それに、コントっぽく観えちゃったせいとしてリズムが現代っぽいんだよね。台詞回しとか音楽の使い方が現代劇だからちょんまげ姿が嘘くさく見えちゃって残念。祭りのシーンで岡田将生蒼井優が再会するシーンは「ロミオ&ジュリエット」を強制的に思い出させられました。殺陣一つにしても、重いはずの日本刀を片手で振り回してたり、重要なカットで刀に血のりがついてなかったりと散々な結果。村上淳のもったいなさすぎる使われ方とかさあ、もっとどうにかならんかったのかね?


良いところが全くないって事は無いんですよ。
まずロケ地がすごい綺麗です。城内とか山の中とかは最近の時代劇の中でも結構気合いの入った画になってました。見逃しがちなのは蒼井優岡田将生が馬に乗れてるという事。これは純粋にスゴい。というか、2人の演技が良いってのはもういわずもがな。マニアックな点で言えば、柄本明親子がシーンが別だとはいえフルメンバーで出演しています。これはお得。すっげえマニアックな点として山本浩司安藤玉恵が夫婦役で1シーン丸々持って行ってる点。ツボを押さえたイイキャスティングでした。オススメとしては時代劇に出ている池畑慎之介が観れます!


廣木隆一監督がこの映画の前に撮った「余命一ヶ月の花嫁」ってのは内容がアレで好きじゃないんだけど、瑛太榮倉奈々の病気を知った日の帰り道のシーンはスゴく良いんですよ。今回もそういうのをワンパンチでもあれば...と期待したんだけど無かったね。うーん、残念。



【おまけ】
この映画のエンディングテーマのPV。殿を演じた岡田将生蒼井優の2人の幸せな生活。もしも映画の構成が上手くいってたら、過去に悲恋の別れを告げた2人が、現代ではしっかりと繋がって幸せになっているという手塚治虫的良い話になってたのに!

雷桜」の原作が見つかりました。


※本文にこぼれちゃった感想。

  • そもそもあの殿って、まわりの人から観たらたんに嫌な奴でしかないからね。この殿が治めると国が乱れます。十三人の刺客の出番ですよ。
  • 個人的に好きだったのは、バカな家来サカキバラの「しくじり3アウト」。