「告白」

過去に書いたものを転載。今思い返してみればまあ「普通」の映画だったなあという感じでした。好きな人は好きでしょうね。魅力的な作風だし。で、観た当時はこんな事考えてました。



ざっくりとあらすじ
とある中学校の1年クラス。学校全体が牛乳を推進する指定校になっている為、生徒37名全員牛乳を飲みながらの3学期の終業式。担任の松たか子先生は淡々と「告白」を始める。
「私の娘はこのクラスの生徒に殺されたんです。」...。


「告白」予告

以下、感想。
正直ネタバレ全開で行きますので未見の人は観てからどうぞ。








公開直後から賛否両論まっぷたつのこの映画。
でも興行成績はここ最近の邦画ではかなり良いですからね。いろんな話題や火種になってる事は間違いない。

正直な話、ボクは中島哲也監督作品が結構ハードに苦手。
まあ、嫌いな監督ですよ。たしか前作「パコと魔法の絵本」も良い作品だとは思えなかったんスよ。ガキを殺してちゃんちゃん♪みたいな薄っぺらがどうも鼻についちゃって。

で、今回の「告白」。

今までの中島監督作品の中では一番良かったです。
自分の了見と監督の作風が初めてあった感じです。


この映画に出てくる出演者はある一人を除いて全員自分の事しか考えていません。

それはもう清々しいほど。

冒頭の松たか子先生の「告白」は、あの場に生徒がいようがいまいが関係ないテンション。「自分はこれが言いたいんだ!」っていうエネルギーのみで突っ走る。生徒のリアクションなんかほぼ関係なし。生徒はもはや「景色」。
その先に出てくる少年A、B。木村佳乃演じる「母」とかも見事に自分勝手。岡田将生演じるウェルテルなんか非常にわかりやすく「自分の事しか考えていない人物」でしたね。生徒の事を中心に考えているようで、結局は「自分がどうありたいか?」という事しか考えていない人物。あの演技は良かったなあ。程よく苛つかせて頂きました。辛うじて他の人の事を考えているであろう人物の無下な扱われ方も良かったです。


最初から最後まで自己中心的な人物たちがそれぞれ自分勝手に行動し、最終的に一番頭のいい奴のみが生き残るラストマン・スタンディング型「ヴィジランテ」映画として非常に楽しめました。

むしろ、それ以上のメッセージはなにも受け取れなかったっす。

この辺りが多分自分の了見とあった部分。

中島哲也監督が「中島哲也」たる所以の演出が、この自己中心的なキャラ達を描くのに最適だったんだと思います。これは恐らくなんだけど、監督も無意識なのかもしれんなあと思ったところでね。

奇しくも監督自身も結局は「自分がどうありたいか?」と言う事しか考えてなかったんじゃないだろうか?と思ったんですよ。

じゃないと、あのスタイリッシュな映像の説明がつかない。ストーリーとあまり関係ないカットが異様にキレイなんですよ、この映画。なにこれ?PV でも撮ってんの?ってくらい。無駄にスローモーションを多用したり、鏡越しのカットを多用したり、どっかーんとCG大爆発させたり。それって結局、中島監督の「オレ節」なんだよね。

監督の「オレ節」演出と、登場人物たちの「自分勝手に動き回る行動」が上手い事ハマってたんだと思います。

この件に関しては監督はわかってて撮ってるとは思えないんだよなあ。わかってる上で開き直ってオレ節聞かせてるんだろか?だったら逆に、より中島監督っぽい演出すると思うんだけど。確かに今までの中島監督の演出っぽくないんだけど、全部無くしてる訳じゃなくて微妙にスタイリッシュだからなあ。この辺が「無意識にオレ節聞かせちゃってる」感を感じました。


で、なんでこんな映画が「良かった!」って感想になったかって言うと、
ボク自身もこの映画同様、「自分の事しか考えていない」からなんですよ。
これはもう間違いなく。



他にも、生徒みんなが笑顔で「みんな仲良し〜!」みたいなにはしゃいでるカットとか、AKB48のあざとすぎる使い方とか極悪でかなり好きなんだけど、一番言いたい事は書いたのでまあ良しとしますわ。




おまけ
自分勝手と言えばこの歌ですね。
この映画、一言で言やあ、この歌の野坂昭如センセみたいなもんですよ。
野坂昭如YWCA