「SPACE BATTLE SHIP ヤマト」

【キムタクの「ヤマト」を初回に観に行く】というとんでもない指令を会社から頂きまして、ちゃんと初日に行ってきましたよ。どういう会社なんだろね。

【あらすじ】※シネマトゥデイより引用

2194年、外宇宙に突如として現れた敵・ガミラスが地球への侵攻を開始し、人類の大半が死亡してしまう。5年後、地球が放射能で汚染される中、かつてエースパイロットとして活躍していた古代進木村拓哉)は、はるか彼方のイスカンダル星放射能除去装置がある事実を知り、宇宙戦艦ヤマトで仲間と共にイスカンダル星へ向かう。

サクサクと以下、感想。





なにぶん「ヤマト世代」では無いんですよ。原作アニメは全く知らないです。だから「原作とここが違う!」とか言えません。そういうのは本物の「ヤマト」ファンがよそでやってると思うのでそちらを読んで頂くことにして、あくまで個人的な感想を。
えーと、「デビルマン」よりは面白かったですよ。「ヤマト」っていう話自体が面白いって言う点もあるかもしれん。原作ってたしか長いんでしょ?よく2時間ちょいでちゃんとまとめたなあと思いました。2部作、3部作にしなかったのは立派だと思います。でも後述するけどその点がマイナスになってる気もするけどね。良いシーンってのもありました。物語後半の戦闘シーンとアナライザーの活躍っぷりね。結局はこういうグッとくるアクションが好きなんだって事を気付かされました。


とは言え、全体を通してみればダメな部分もいっぱいありますよ。デスラー調に言えば「それはイエスでありノーでもある。」って事です。


今回のヤマトの宣伝では「日本人が初めてSF映画で世界に挑む野心作」みたいな事を言ってたけど、ちょっとハードル上げ過ぎたね...。
VFX」に関しては確かにスゴいんだと思います。ただその「VFX」がスゴい故に日本のSF映画の限界を見てしまったようでした。VFX」の頑張りに美術のセットが追いついてないんですよ。艦内がしょぼい。どこかで見たようなデザイン。明らかに「セットです!」みたいな見栄え。かつての「宇宙からのメッセージ」とか「さよならジュピター」の時代から進化が全然ありません。今から200年後の世界でモニターが普通とかやめて欲しい。「それがヤマトだ!」って言われたらしょうがないけどさ。これを「世界に対抗できる作品」って言われちゃうと「あーここまでしか出来なかったか...。」と思っちゃったのが率直な感想。
まあ「VFXスゴいよ」って書いたけど、基本的に山崎貴監督のVFXの雰囲気があんまり好きじゃないっていうのも実はあるんですよ。なんで巨大戦艦をあんなに軽そうに撮るんだろう?主砲がぎゅいんぎゅいん動くんですよ。戦闘機並みに急転回したりとかね。これってヤマトの迫力を欠いてると思いますよ。


じゃあ実写のほうはどうかと言えば、演出と脚本の問題なんだろうねえ...。役者の皆さんがみんなヘタクソに見えちゃいました。山崎努の沖田艦長、心臓押さえてましたよ。わかりやすいですねえ。出てくる人がみんな台詞で状況を説明してくれてましたよ。親切ですねえ。こーいうのをベタって言うんでしょうね。役者に対する演出がしょっぱいんですよ。良い役者陣を使ってるのに本当にもったいない。
あと、やっぱり原作が長いから話をどんどん進めなければならない訳で、どのシーンも短いです。もうちょっと観ていたいと思ったシーンがいっぱいありました。正直詰め込み過ぎですわな。奇しくも「宇宙戦艦ヤマトのテーマ」という超アンセムが、この作品ではクライマックスまでかからずに途中までしか聴けないの同じですよ。


傑作を期待して観に行く人にも、ダメ映画を観てボロクソ言うっていう趣味の人にも、どっちにも中途半端な作品です。良いところ悪いところに関しての感想は、原作の思い入れ次第でもだいぶ変わるでしょう。ただ宇宙戦艦ヤマト」なんていうアニメの傑作を「木村拓哉」っていうスーパースター主演で「実写映画化」するなんていう無謀なアイデアを実現するっていうのがもう「ヤマト」っぽいじゃない!キムタクも山崎貴監督もすごい肝っ玉だねえ。もはや人柱ですよ。「自己犠牲」という点に於いてはこの映画のテーマに通じてるね。蛮勇です。出来はともかく「良くやった!」と思います。どの世代でも楽しめる作品にしたのはスゴいです。実際、ボクが観に行った時にはおじいちゃんが孫を連れて観に来ていました。この作品ならお父さんが子供と一緒観る事も出来るでしょう。せっかく世代を超える作品が公開されているんです。イベントと割り切ってみんなであーだこーだ言うにはもってこいの作品なんで、観る分には損はないですよ!



【おまけ】
グッときたシーンでは他に乗組員が地球に残された自分たちの家族と最後の交信をするシーン。
この曲を思い出した。

ビターズエンドなSFで好きな曲。


※本文に溢れた感想。

  • 佐渡先生って別に悪くなかったですよ。このあたりが原作知らずの感想。
  • ヤマトまで実写化したら「ガンダム」とか「エヴァ」とか近い未来に実写化されちゃうんだろうね。その時どう思うかが問題だ。
  • 橋爪功は意外と軍服が似合う。
  • そーいや「踊る大捜査線」の室井さんが出てたね。